カテゴリー「旅行・地域」の54件の記事

北京的生活Ⅱ 北京の魔法瓶

 京の水道水はそのまま飲まない方が良い。硬すぎる。現地の人でもおなかをこわす。細菌についてはよく知らないが、全体的な判断としては「飲用可」ということになっているそうなので、衛生面ではそれほど心配ないのだろう。でも、超超超硬水というのはおなかによくないらしい。

 食器を洗ってそのまま乾かすと、水滴のあとがくっきりと見えるし、加湿器の掃除をするときなど、「うわぁ~!!!」と思うほど水垢が付いている。まあ、もっと頻繁に洗え、ということなのだろうが。湯沸かしポットも、5,6回沸かすと、電熱線の形に湯垢が付く。それを落とすための、強酸の粉末も売っていて、これはポットに水を張って粉を溶かすと、驚くほどよく取れる。

 さて、我が職場の宿舎にはお湯のサービスがある、北京で一番よく目にするデザインのこのポットで、服務員さんが一日2回、お湯を届けてくれるのだ。

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                          レトロな花柄がたまらない。

 これは、「鹿牌(鹿印、のような意味)」というメーカーのもので、中の保温瓶は交換可能である。なぜ交換するのかというと、倒すと割れるからだ。

 私事、私はこれまで5本、この保温瓶を弁償した。ドアを開けたとたんにタマが走り出て、よその部屋の前に置いてある瓶にぶつかって倒し、タマはそのまま逃げ帰り、私はフロントで弁償、20元なり。

 外出から戻ってドアを開けるとタマが飛び出してきそうなので、ポットでブロックすることにし、それは成功したのだが、置いたポットの位置が悪く、ドアを閉めたら倒して弁償、この時だけは、なぜか25元なり。

 あとは似たり寄ったりの状況なので以下省略とするが、さすがに4本目の後、つまらない繰り返しに嫌気がさして、

「もう、お湯、いいです。自分でポット買って、部屋で沸かして入れます」

とフロントに話し、服務員さんへはフロントからその旨連絡してもらって、一路、ポットを買いに出た。

 直径が大きければ倒れにくいだろうと考えて、3リットル入るものを買った。……28元だった。同じメーカーである。中身が20元とすると、外側の値段は微々たるものだ。

 さて、年度が改まって、新しい服務員さんが入ってきた。またお湯が届けられるようになったのだが、説明するのが面倒だったのと、もう同じ間違いは繰り返さないだろうと考えてそのままにしておいた。

 すると先日、外に出たがるタマを抱き上げつつドアを開け、お湯の瓶を室内に入れ、ドアを閉め、一歩踏み出すと、置き場所の悪かったポットに体当たり。

 「ガシャ」

……何度か聞いた音だ。正確には、過去4度、聞いた音だ。

 延々とかかって掃除をし、フロントに弁償に行くと、係の先生は

「猫ね?」

とすでに笑顔である。まあ、4回繰り返せば5回目の原因も想像が付くだろう。曰く、

「今度から角に置いたらいいわよ。ぶつかっても倒れないし。やけどしないでね」

正論だ。自分のまぬけさ加減にさらに嫌気がさす。

そして、

「どんな猫? 白?」

と、タマに興味をそそられた様子だったので、後日、写真を見せに行ったら大喜びだった。思わぬ日中友好の一場面だったが、それにしても、ポットの中味だけに125元も出費してきた自分が嘆かわしい。☆

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                        鹿のマークが目印です。

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北京的生活Ⅱ 北京初雪

 いに北京にも初雪が。新鮮だ。なぜなら、昨年はめずらしく一度も降らなかったのだ。その上、普通は12月か1月の初雪が、なんと11月1日に降ってきたのだから驚く。

 北京在住五十余念の北京人のおじさんに聞いたところによると、おじさん幼少のみぎり、雪は30センチから50センチも積もっていたそうだ。温暖化は進んでいる。

 さて、最近の北京の雪なのだが、ちょっと積もったかと思うと次々溶けてしまうのである。11月1日の初雪も、相当量が降ったわりにはあっというまにびしょびしょ状態になってしまった。もう少しおとなしく積もっていてくれれば、まだいろいろと遊び様もあるのだが。

 とはいえ、ひとひらずつが大きくふんわりとした雪は木々の枝を覆って美しい。下さえ見なければいいのだ。写真は宿舎の南側窓から撮影。すでに溶け始めて、あまり美しくないのが申し訳ない。☆

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北京的生活Ⅱ 明日は何度だ!? まちまちな天気予報

 2009年10月29日の晩、私は明日の天気予報を調べている。結果は以下の通りだった。

  それぞれのソースでたった今調べた天気予報である(現地時間23時25分現在)。

 前の数字が最低気温、後ろが最高気温、その後が天気である。 

 最低気温の低い方から並べてみると……。

         北京の天気 10月30日

  •    日本のグーグル    0・13 雨・くもり
  •    日本気象協会     4・11 くもり
  •    北京気象局       4・15 小雨
  •    MSN天気予報     7・10 雨
  •  最低気温が7度の差、最高気温が5度の差である。
  •  実は、最高気温の差というのは、生活上さして問題にならない。上着を持って行って、着たり脱いだりすれば、何の問題もないからだ。

     一番知りたいのは、最低気温なのである。これは切実だ。

     北京の朝は早い。

     たいていの学校、商店、お仕事は8時開始である。したがって、人によっては6時台から7時には家を出なければならない。私は7時半過ぎに家を出ているけれども、それでも午前と午後では服装を変える必要があるほど、一日の温度差は大きい。それで、朝の服装は、相当の低温に耐えられる準備が要るのだ。

     加えて、こちらの女性は、ストッキングなんぞというもので忍耐しながら寒風に晒されつつおしゃれをする、などという非合理的な選択はあまりしない。もっと健康的かつ道理にかなった服装をするので、朝の気温はその日の服装の決定に重要な鍵を握るものなのだ。

     たとえば、最低気温が7度や10度であれば、綿のももひき?(よりも、ちしょっとおしゃれ。いろんな色があり楽しい)をパンツの下に履けば事足りる。ところが0度ともなると、風も布に刺さるし、第一、低温で凍えて仕事にならない場合もある(今年の北京の集中暖房は、11月15日から入るようだ。部屋にエアコンもあるが、職場にもあるとは限らない)。

     そこで、偉大なるマオクーの登場である。

     これは、「毛のズボン」という意味の語で、ウールやウールの混紡の、大変暖かいももひきである。色も、上のシャツとおそろいで、赤から紫、ピンクなど色々ある。

     先日、ハーパーズバザール中国版の編集長の女性が、社員の海外出張の際にはマオクー禁止令?を出しているというニュースをネット上で読んだ。「海外で笑われてるのを知らないの?」とは編集長の女性の言葉だが、寒いときには厚着する、という当然すぎるような行為が、西洋(日本?)指向のおしゃれという、忍耐を要する行為のもとに駆逐されるのは、個人的に「没有道理(道理に合わない:これは中国の人にとって大変重要な概念である)」だと思う。

     いずれにせよ、明日の天気予報、どれを信じればいいのだろう? まあ、適当に、そこそこに暖かいものを来て行こうっと。☆

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                          「私はいつも毛皮」

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    【お知らせ:北京タミフル】発症後投与に変わったようです。

     4月にアップロードした記事の内容を、最新の情報に変更しました。下記のリンクをご覧ください。また、新型インフルの予防接種は連休明けに可能だそうです。☆

    http://chinanews-now.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-aa69.html

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    番外編:旧正月に燃えていた北京

     CCTV(中国中央電視台)の新社屋は、地下鉄の国貿駅から徒歩5,6分のところにある。これは話題のCBDと呼ばれる地区で、商業の最先端エリアだ。豪奢なホテルとマンション、オフィスビルの立ち並ぶ地区の一角にそびえ立つ、不思議な形のビルである。

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     この、なんだかエッシャーが描いた絵のようなものが新社屋、そして隣が、オフィスとホテルになるはずだったビルだ。ニュースでご存じの方も多いと思うが、これが花火で燃えてしまった。

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     香港発の雑誌で、「大陸販売許可を得ています」と表紙に明示してある『鳳凰周刊』に分析記事が出ていた。ガラス張り鉄筋のビルは火事に弱いそうだ。燃えている最中は、「麺と同じくらい柔らかい」という。しかしいったん冷えると「また鋼鉄の堅さに戻るので、現在、崩落の危険はない」とのことで一安心。携帯で撮影する通行人をよく見かける。

     写真は2009年4月に撮影。8月の今はどうなっているのだろう。しかしいずれにせよ、大きな花火は川辺で打ち上げてほしいと思う、素朴な一日本人の私である。☆

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    北京的季節感 4.最近、浮いてませんか?

     が入らないように置いてあるゴロゴロだが、実は「必要」に応じて勝手に移動されてしまう。でも、ここまで遠くに来たものを見たのは始めてだ。ちょっと移動するつもりが、あれよという間に転がって行ってしまったのだろう。

     じっくり見ていると、「近頃、周りから浮いてませんか?」なんて声がひっそり聞こえてくるような。☆

    Cimg9626s 規則的に並んだ石の玉。一カ所だけ空いているところから旅してきたようだ。

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    【情報変更:新型インフル】 タミフルは発症してから投与するそうです。

     去る4月27日(月)に、「ビスタクリニック徐先生談」として、「予防的に飲むこともできる」と報告しましたが、現在は、「発症してから、マスクをして診察に来てください」とのことです。耐性菌ができると困るので予防的に投与しないようにというWHOの見解もあるようです。

     所在地:嘉里中心(ケリーセンタービル)地下1階(地下鉄最寄り駅は10号線の「金台夕照」、1号線・10号線乗り入れの「国貿」です)。

     電話(日本語):010-8529-9486

    ※流行中のインフルエンザについて、呼称を変更しました。2009年5月20日

    ※タミフル投与のタイミングについて、現実の推移に合わせて情報を変更しました。2009年10月3日 

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    北京的季節感 3.桃の花

     書館の前に桃の木が2本ある。これが驚き桃の木で、おびただしい花をつけるのだ。花の重みで枝がゆるりとしだれるほどの花を前に、思い思いに記念写真を撮る姿が散見された。☆

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    北京的季節感  2.タマの春眠

     にも一度、春眠写真?を掲載したことがあるけれど、今のタマの方が、春を謳歌している風だ。寝る子は育って4キロ少々になった。タマも春は嬉しいのか、大騒ぎして遊んで遊んで、疲れてコトンと寝てしまう。☆

    ※なんと無防備な。

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    北京的季節感 1.春だ!

     は名のみの風の寒さよ、と歌うのは『早春賦』、春は名のみの今日の暑さよ、と半袖になるのは私であった。24度、27度と今日の気温については両論があるが(なぜだ)、日向にいるとじりじりと焼かれるような暑さである。桃も梅も、名前の知らない気になる花も、それは美しく咲いているのであった。木蓮はもう散りつつある。スミレもかわいらしく咲いている。春だなぁ。やっぱり春はいい。☆

    ※太陽を恋ふる梅の花。

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    北京の日常 8.配送屋の名誉のために

     の悪いことはあるものだ。この地ではそれが本当にたびたび生じる。変数も多くなると、どこで齟齬が生じて問題が起きたのかたどれないこともある。不都合なことがあまりによく生じるので、だんだんそれが異例なことだと感じなくなりそうだ。これを「慣れ」と呼ぶのだろうか。

     さて、電子レンジの件である。夕方、携帯に電話が。

    「カルフールじゃよ」

    私にはそう聞こえた。

    「わっ! 配送の方ですか。今、どこですか?」

    「もう下におる」

    私にはそう聞こえた。

    「すぐ行きます!」

    ああ、びっくり。

     この直前まで、フロントに頼んで電話をかけてもらったり、自分でもかけたり、学生に、暇になったらかわりにかけてくれとメールしたり、と、ずっとじたばたし通しだったのだ。

     やっと電話がつながって、昨日の熱心なおじさんと話ができた。おじさんは配送部門の電話番号を教えてくれて、

    「この前、一緒に行ったあそこだから、かけてみてください。いやー、すみませんでしたね」

    とのことだった。気持ちの良い人だ。

     配送部門の電話番号がわかったのは嬉しいが、あの高飛車な部門に、自分でかけるのか。憂鬱になる。

     電話すると、店の雑踏が聞こえること数十秒、後に留守電になってしまった。仕方ないので用件と携帯番号を録音、まあ、いいや、と思って電話を切った。その数分後である。配送屋からの電話が鳴ったのは。

    「配送日に電話したけど、出なかったよ」

    「え? 変ですねぇ。電話はずっと電源入れてたんですけど」

     さて、待望のレンジが届いた。ここまでさんざんひっぱった後にやっと届いたので、感激もひとしおである。思わず実家の兄にIPカードを使って携帯から電話。

     すると、最初はなんだか音がしないようなするような感じだったので、へんだなー、お話中かなぁ、などとつぶやきつつ切ってかけ直すと、今度は間違い電話で別の家にかかってしまった。ああ、もったいない。国際電話なのに。

     三度目の正直でようやく兄の電話につながる。やっとレンジが手に入った、わはは、と話すと、兄は言った。

    「それ、電話がおかしいんじゃないか? 僕の所にさっきかかってきた電話で、『あれ、お話中かな』とかなんとか色々、聞こえてたぞ」

     ところが、私の携帯の側には兄の声は聞こえていないのだった。とすると、配送屋もあるいは23日にきちんと仕事をしていたのではあるまいか。私の宿舎めがけて運転、建物の前に到着、顧客に電話……。

     けれども、配達先である私は電話に出なかった。なぜか? ひょっとして、着信音が鳴らなかったからだろうか……。

    …… ♪それはだーれのせいでもなくて~ 携帯が 故障で~

    なんかこんな歌があったな、昔。この程度なら著作権にも触れないだろう(触れるようでしたらご連絡ください。すぐ削除します)。

     そんなわけで、電話のちょっとした不具合のおかげで、配送が二日も遅れていたのであったと結論せざるを得ない。今度は配送屋の名誉のために一筆。でも、なんで一日じゃなくて、二日も遅れたんだろう? 名誉挽回してあげなくても良かったかな?☆

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    北京の日常  7.とんでもな配送             

     ずかしながら、電子レンジを持っていなかった。まあいいや、とフライパンでトーストを焼き、蒸し器でマントウをふかし、電子レンジが、厳密に言えばトースターレンジが日本に登場する以前の生活をそのまま送っていたのだった。

     一方、作りたい料理は増えるし、猫のてづくりごはんへの挑戦も再び開始したいしで、トースターレンジへの欲求は嫌が上にも高まっていった。部屋によっては備品で着いていることもあるので、次の引っ越し先にあったらもったいないなぁ、としばらく考えた後、将来、職場を変わるとしても、同程度の宿舎であろうことを考えると無駄な買い物でもなさそうだと思い直した。そんなこんなで、今月の給料を確認し、機種をネットで適当にみつくろって某チェーン電器店へと向かった。

     その日はGalanzという現地メーカーのレンジが特売に供されており、欲しかったタイプも店頭に出ていた。しかし、大きい。重い。

    「それはお客さん、レンジいうたら20キロ超えますがな」

    店員さんはそういっているように聞こえる。

     ふと、トースターでもいいような気がしてしまった。

     そこで、オーブンとオーブントースターのコーナーへ行き、別のメーカーのを見て、サイズも機能も手頃だな、と、それに決めかけたそのとき、

     「Galanzの方がいいわよ」

    と、別の店員さん。さっき見て気に入らなかったのだが、とは言えずに、再び見に行く。と、今度は、レンジ機能なしのけっこう良いモノが。

     「済みませんお客さん、これ、今、欠品中なんです」

     「いつ入るんですか」

     「さあ……」

    さきほど見たものを、その店員さんにも見てもらおうと思って引っ張ってくる。

     「これ、どうでしょう?」

     「すぐ壊れます。ダイヤルが取れてきます」

     「じゃ、やっぱりさっきのの方がいい?」

     「モノが無いんですってば」

    商売する気あるんだろうか。その店のポイントカードを実は持っていたのだが、あまりのやる気のなさにがっくりきて、すごすごと店を後にした。

     そして、大手スーパーへ。売り場に着くと、あるある、色々。すぐに店員につかまった。

     「お探しはレンジですか」

     「ええと、トースターというかレンジというか」

     「両方一緒になったのがあります。さあ、こっちこっち」

    非常に熱心なのだった。

     「これです」

    と自信たっぷりにとある機種を示す。ほかにも色々あるのだが、なぜか、これが一番だと自信を持って語るのであった。

    「重いから嫌です」

    自転車にくくりつけて持って帰るつもりだったのだ。

    「配送できますから、大丈夫大丈夫」

    「う~ん」

    非常に魅力的な機種だったのだが、予定よりけっこう高い上に、ちょっと本格的な雰囲気を醸し出していて、ぜいたくかも、と思ってしまう。貧乏が板に付いてきたので、こういうブルジョアな買い物にはどうも抵抗がある(といっても、中くらいのクラスのものだが。貧乏性というやつだろうか)。

     とはいえ、せっかくなので、その製品の特徴について、どうしてここがこうなっているのか、あそこがああなっているのか、根掘り葉掘り、延々質問。流暢に答える店員。有能な人だ。

    「用途をうかがうと、これがちょうどいいです。あっちのは大きすぎです」

    ごく短い間の会話で、私の必要をしっかりと見抜いているところもすごい。出世しそうだ。

     それでも、やや迷っていると、別の店員がいう。

    「もっといいのがありますわ。こちらです。××の品で、同じ値段でもっとこういう機能があって……」

    「あ、あの、私、そのメーカーあんまり好きじゃないので……」

    すかさずさきほどのおじさんが

    「じゃ、配送の相談しましょう。上ね、上。2階に行きましょう」

    というわけで、あれよあれよという間に、699元のオーブンレンジというかトースターレンジの大きいのというか、まあそういうもの(光波炉 ぐぁんぼーるー)を購入することに。人波をかきわけかきわけ、ようやく2階へ。

     さて、その配送部門なのだが、これがなんとまあ高飛車なのだ。おじさんが、配送範囲の地図を見ながら、私の住所を尋ねる。ついで、係の人に訊こうとすると、

    「3キロ以内だったらとにかく配送できるってば」

    「それより物持って来い」

    と、こういう調子なのだ。

    自分のところの店員に対してまで高飛車に出てどうする。

     配送の申し込み書を書く私にも、漢字を間違えそうになると

    「そこはこちらで書くからいいから」

    と冷たく言い放つ。余計に焦る私。

    「急がなくていいですからね、ゆっくりどうぞ」

    と、さきほどのおじさんが一生懸命フォローを入れてくれる。

     配送時間の約束の段になっていつが良いか訊いてくるのだが、こちらの希望を言うと、

    「うちの配送は晩だけです」

    だったら訊くな。

     おまけに、約束の晩に、来なかった。

     あるいはこの地の「晩上(わんしゃん)」は、11時59分までなのかと思い、夜中まで待ってみたが来ない。一体、いつ来るのか、そして、遅れた言い訳をどう言うつもりか、今から楽しみである。☆

    ※届いていないので、写真もありません。あしからず。

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    北京の日常  6.時計屋の名誉のために

     回、水の入った時計を修理に持っていた話を書いた。色々と文句も書いた。

     さて、一旦、宿舎にもどってあれこれ用事を足して、1時間ほどしてから行ってみると、すでに修理は済んでいた。

    「中の機械を出すと故障する危険があるので出しませんでした。でも、こちらの技術で水分は取りましたので大丈夫です」

    「おお、いいですね。ありがとうございます。おいくらですか」

    「お得意さんですから、いいですよ。何かありましたらまたいつでも」

     時間を合わせてもらって、腕にはめて帰宅。

     帰宅してふと見ると、またガラス中央にわずかな水滴が。

    「腕で暖まって、残りが出て来ちゃったんだな」

     私は時計をハンガーにつるして掛けておいた。

     翌朝見ると、水滴はきれいに消えていた。水滴の入るすきまがあるということは出て行くすきまもあるのだろう。うーん、しかしよくわからない。

     その後、時計は快調である。裏蓋に多少の傷はついたものの、文字盤さえ見やすければいいや。時計屋の名誉のための拙文でした。☆

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    北京の日常  5.とんでもな時計屋

     時計に水が入ってしまったので、つい先日、電池交換してもらったところで相談したら直してくれるという。

    「少ししたら来て」

    というのだが、なんだか心配なので、

    「面白いから見てます」

    と見ていたら、まず、後ろのカバーをこじ開ける場所を間違えて傷をつけられた。想定内だ。

     次に、ムーブメントを本体から外すのに竜頭が邪魔になって取れない。修理のお兄さんは、一生懸命いろんな場所をピンセットでつついて、しまいに竜頭を持って思いっきり引っ張り始めた。もう元の時計には戻るまいな。ほぼ想定内。

     思いの外、難航しているようすなので、その向かいの店の知り合いとおしゃべりしていたら、さきほどから腕時計用の電池選びをしていたお客が選び終えた。もう一人いる、店の主人らしきお兄さんが、私の時計を修理していたお兄さんに指示を出す。

     ちなみに時計の電池は5元から30元まである。私の時は、

    「1年もつのがいい」

    と言ったら、

    「じゃ15元だ」

    ということで交換してもらった。

     さて、電池交換のお客の仕事を終えたら、私の仕事に戻ってくれるかと思いきや、

    「もう少したってから、後でまた来て」

    という。宿舎は自転車で2,3分なので、一度戻ることに。

     私が店の外へ出ると、一足先に携帯を持って店の外に出ていた修理のお兄さんの声が聞こえる。誰か友達とでも話しているのだろう。

    「うん、うん、いや大丈夫、忙しくないよ」 
    ……ちがう、あんたは「忙しい」はずだ。
    私の時計直しがあるじゃないか!☆Tamamabushi081212_034s

    ※ここに修理屋が。奥はコンビニ。

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    北京の日常 4.レジ袋有料化、その後

     ジ袋の無料配布が禁止になった話を以前ここに書いた。その後、食品のおまけとして商品名を印刷した簡単な買い物袋が付いてきたり、スーパーのレシートと交換にその店のいわゆるエコバッグを配布したりなど、色々な袋が登場した。店には買い物用のバッグが並び、道行く人がカルフールの虹とピンクのふちどりの四角い袋を下げている姿もよく見られる。

     一方、有料化されたレジ袋は厚手になり、非常に使い勝手が良くなった。以前は商品の端が硬かったりするとすぐ破れたり、重い物を買ったときにはレジのお姉さんが念のため二重にしてくれたりなどしていたものだが、近所の国営商店「超市発(ちゃおしーふぁー)」にせよ、カルフールにせよ、これが破れなくなったのだ。ところが、日本に一時帰ったときに「袋はご入り用ですか?」と訊かれて、「はい」と答えた際にもらったレジ袋は、なぜかすぐ破れる代物に変わっていた。破れないように自分でエコバッグを調達しよう、という動機付けを狙っているのだろうか。☆

     ※いずれにせよ、タマにとっては楽しい遊び道具。写真は「超市発」のエコバッグ。

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    北京の日常 3.とんでもな猫

     「さて、今日はどれを読もうか」。   なんちゃって。☆

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    北京の日常 2.とんでもな壁

    Cimg9302s  輪が終わってから初めて、母校の近くへ行ってみた。まだ雲南料理の店はあるだろうか。あまりに寒くて電気ストーブを借りたら1本切れていたけれどオレンジの光がありがたかった、あのホテルはまだ営業しているだろうか。歩道の真ん中に半球型に突き出たマンホールはこの道だったかな、などなど、とんでもな思い出にひたりつつ散策。

     さて、このあたりには小さな店が並んでいたような、と思った場所を見ると、オリンピックの競技を象徴する絵文字?を描いたグレーの壁が。

     そして、その壁の向こうには、以前からの店が!

     営業妨害じゃないか。

     どうやって店に入るのだ。壁をよじ登れるのは忍者とタマくらいだぞ。そしてタマはあまりよい消費者ではないぞ。なんせ、お金を持っていないし「買う」という概念もないから、ただ持って行ってしまうだけだ。

     ここで思い出したのが、五輪前のニュース番組だ。確かCCTV9という英語チャンネルだったように思う。やはり、商店を営んでいる女性が、店の前に壁を作られてしまって、商売にならないわね~、と苦笑しながらインタビューに答えている場面があった。要するに、

    「雑然と見えるものは、きれいな壁で隠してしまおう」

    というわけである。

     これでは、「何ちらかしてるの? かたづけなさーい!」と言われた子どもが、ベッドの下におもちゃを押し込んで「かたづけたよーん」というのと似ていないかね? などと言ったら国際問題になってしまうんだろうか。それにしても、この壁、早く取り払ってあげないと、本当に商売あがったりだと思う。☆

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    北京の日常  1.とんでもな洗濯

     や、別に北京のすべての家庭かこうだ、とは言わない。言わないが、たしかに私の宿舎には、共同洗濯機が一台しかない。部屋はホテル仕様なので、蛇口と洗濯機の吸水口のサイズが合わず、部屋に設置することもままならない。

     そこで一計を案じて、風呂場で使えるような、小さな洗濯機(脱水機能なし)を買うことにした。これなら、洗面器で「給水」して、洗面器に排水すれば問題なかろう。洗濯オンリーの需要もあるらしく、超ハイテクな海爾(ハイアール)の洗濯機と同じ売り場に、原始的な洗濯機もちゃんと売っているのだった。

     さて、カルフールで購入した、待望の洗濯機が届いた。タマが乗って検品する。タマ、乗ってどうする。風呂場に持ち込んで初洗濯。嬉しい。部屋で洗濯機で洗っているのだ。わはは、どうだ、参ったか。

     しかし、参ったのはその後の私だった。

     洗うより絞る方が大変なのだった。

     悪戦苦闘の末、脱水だけを共同洗濯機で行い「これでは二度手間じゃ」と思った私は、今度は脱水機能だけの脱水機(つまりは、ただの脱水機)を買いに行った。これもちゃんと需要があるらしく、中国の有名チェーン店「国美電機(グオメイディエンジー)」で売っていた。持ち上げてみると、軽い。そうか、洗濯機は水と洗濯物の両方の重さをぐるぐる回す必要があるのでモーターがすごいのだな。でも、脱水機は、水から出した洗濯物を回すだけだから、それほど大かがりなモーターもいらないのだろう。ふむふむ。

     店頭で色々みせてもらって、正しいか間違っているか不明な推論を楽しみつつ、結局、手頃なサイズの脱水機を購入、後日、届けてもらった。そして実感したのが次の事実だった。

     脱水機だけ買えばよかったのだ。

     というのも、流しで手洗いした洗濯物を、次々放り込んで一気に脱水すれば事は足りるのだった。少し大きめのものは「たらい」で洗えばいい。遅かりし。

     ところで、誤解のないように書き添えておくと、北京のアパートはすべて家具付きで、身の回りのものだけ持ち込めば生活できる。もちろん、洗濯機もある。とはいえ、あまりに古くて壊れている、ということもあるので、そこは入居時に大家さんか仲介業者と話し合って、修理してもらうなり取り替えてもらうなり、きちんとしておく必要がある。

     地元の人の間では、手洗いもかなり行われているようだ。というのも、スーパーに行くと、洗濯板が必ずあるし、固形の洗濯石けんもたくさんの種類が並んでいる。さらには、小さめのプラのたらいの縁から底に向かって「階段」がついていて、洗濯板いらずの「日本製」洗面器まであるのだ(これは留学生には便利そうだ。ご所望の際は、四環沿いのイトーヨーカドーの、家庭品売り場へどうぞ)。大勢の人が出稼ぎで働きに来ていて、手洗い洗濯環境で暮らしていることを考えるとうなづける品揃えだ。

     そんなこんなで、洗濯物がたまると、共同洗濯機が空いている千載一遇の機会に一度に洗濯、同時に部屋でも地味に洗濯、という、一大イベントを繰り返す北京の夜である。☆

    ※タマ、なんて書いてある?

    Tamane080710_208s

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    北京で暮らす猫(47) 番「猫」タマ。

     

     タマは猫である。

     何をいまさら、とおっしゃる向きこそ、ちょっとお付き合いを。今夜、こんなことがあったのだ。

     タマはドアから外に出たい。出たいので、何をしていても、ドアの外で気配がすると、耳を向け、顔を向け、ドアの前に行って、隙間から何か見えないかと、床の上で平らになって様子をうかがう。まるで番犬だ。余談だが、真上から見ると茄子のような形で面白い。

     さて、夕刻、私はテストの採点に余念がなく、タマは私の邪魔に余念がなかったのだが、ふと、タマがかたまって、ドアの方を向いた。

     「学生かな?」

    と思うが早いか、ドアノブを乱暴に引っ張る音が! もう一つのロックがガチャリと音を立てて、ドアは開かずに済んだ。

     「んんんん!?」

    誰だろう? 間違えたのかな? でも、なんでドアが開くんだ?

      それから1時間少々たって、またドアが。

     「誰? 誰、誰、誰ー!?」

    今度は声を上げたが返事はなし。さすがに恐くなって、宿舎のフロントに電話する。

     「鍵は持ってる風だった?」

     「いいえ」

     「じゃ、おそらく階をまちがえんたんじゃない? ここには警備員もいるし、心配しなくて大丈夫よ。またそういうことがったら電話してね」

     「はい……」

     その後、戸じまりの確認をしに行って、びっくり。なんと、鍵が開いている。じつは、最後に確認したときに、「なんで開いてるんだろう?」と思って、確かに閉めたのだ。それが、再び開いている!?

     ということは、賊?は鍵を持っていることになりはしまいか。どきどき。

     ドアの外に気配がするとすぐに反応するタマ、夜中に遊んで走りまわるタマ、トイレの前後に野生味のある大声で騒ぎながら家じゅう駆け回るタマ、早朝2回、必ず起こしに来るタマは、近所迷惑だと思っていのだが、防犯になりはしまいか。

     タマ、今度ドアの向こうに人が来たら、うんと騒いでいいんだよ。一緒に騒いであげるから。しかし、鍵の件は、私の勘違いであることを切に願うものである。☆

    Tamait080920_022s

     ※「誰か来た?」 振り返るタマ、なんちゃって。






     

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    北京の携帯電話 なぜ私の番号を・・・・・?

     

    休みも間近という頃、携帯電話に長い長いメールが届いた。 

     誰だろう?と思って見ると、

     「三鹿ほか乳製品責任企業22社からあなた様へのお詫び」

    だった。

     メラミンミルクを販売した会社だ。非常に丁寧な言葉でのお詫び、被害に遭われたお子様への賠償のお約束、不合格品は二度と出さない所存、どうかおゆるしください、と、最大限のお詫びと償いの言葉が並んでいた。

     しかし、なぜ私の携帯に?

     その後、そろそろ夕食でも、と言う頃、ロイターのニュースを見ておどろいたー(地味なギャグですみません)。

    http://news.nifty.com/cs/item/detail/reuters-JAPAN-356848/1.htm 

     なんと、「顧客」の携帯に送ったそうだ。しかし、牛乳を買うときに電話番号など知らせた記憶もなければ、偶然ではあるが三鹿の粉ミルクは買ったことがない。赤ちゃんもいないし、大人用の粉ミルク(小学生用、学生用、女性用、中高年用など、いろいろな粉ミルクがあるのだ)も、三鹿のものは知らない。

     以前、高速道路の下で漏水があり、地盤の一部が陥没したときに、交通当局から迂回要請のメールが来たことはある。国が把握しているのであれば、それはわかる。携帯番号は店頭で買うものだし、国はなんでも知っている、というわけで、これはこれで納得がゆく。しかし、なぜミルク?

     発信番号を見ると、10000とある。これは、中国聯通の連絡メールの番号だ。ということは、企業から送られているのではなく、中国聯通が企業から預かったメールを聯通の顧客に一斉送信している、というわけだ。やっとなぞが解けた。

     案外簡単に解けたなぁ、今回の謎。☆





     

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    北京の変な日本語 鏡編

     末に鏡を買った。丸くてくるくる回る両面の鏡だ。
     両面鏡に期待するのは、片方が普通に映り、片方は拡大になっていることではないだろうか。ド近眼の私は、そういうのが欲しかった。しかし、どうもこの鏡、両面とも同じものがついているように見える。店員さんに聞く。

     「両方同じ鏡がついててどういう意義があるんでしょうか?」

     「ん?」

     「ええと、ほら、あるでしょう、片方が拡大になっている両面の鏡。ああいうのないですか」

     「え、どれどれ」

    店のお兄さん、真剣に両面を見比べる。まじめな人だ。

     「あ!」

    ややしばらくして、お兄さんが声を挙げる。

     「なってる! ほら、こっちが大きい方だよ・・・・・・すこ~しだけど」

    手渡された鏡をじっくり見る。くるり、また見る。くるくるり、また見る。くるくるくるり、またまた見る。どうだろう。

     「・・・・・・うーん、そうかな、そうですね、そうかな、うーん」

    まあ、ないよりいいや、ということで12元払って購入、箱に入った新しいものをくれたのだが、その箱の日本語がまた面白い。一方は英語のmayを訳するときに間違えたのだろうけれども(英語そのものも間違っているのはご愛敬)、もう一方の日本語は、どうしてこうなったのかわからなかった。中国語にこうした表現があるんだろうか。☆

    1.こんな日本語が。mayを誤訳か。
    Tama090102_030s

    2.中国語の影響? どなたか教えてください。
    Tama090102_029s

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    まだ年末な北京

     本ではあわただしい年末もすぎて、新しい年を迎えている頃だろう。一方、ここ北京では、もう少し広く言えばチャイナの今日は、ずばり普通の休みにすぎない。3日まで休むところもあるが、私の勤め先は今日一日が休みで、あすは通常授業だ。三連休にするために日曜日に授業をする学校も多い。正月はもっと先、今年は1月26日なのである。

     中国・韓国は旧暦で年が改まるので、気持ちの上では上記日付の春節が正月だ。日付は毎年変わるのだが、今年は去年より一週間以上早い。それでも1月1日は、まだ年末の忙中閑といった感じで、忙しさはこれから盛り上がりを見せる。

     そんな世間には目もくれず、一日千秋のごとく同じ日課を繰り返すタマが少々うらやましい。☆

      ※風呂場に吊るしてあった垢擦りに飛びついて持ってきてしまったタマ。

    Tamagoro081225_008s

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    北京で失くす  さらば愛しの電子辞書 

     しかけ5年付き合った電子辞書を教室に忘れ、気づいたときにはすでに見つからず。方々にタライ回しになって行き着いたところが、全学の紛失物を捜索・管理・廃棄する保衛処というところであった。

     思えば某K社の電子辞書は、中国語が入った初めての電子辞書で、しかも、第一次出荷製品は強度不足の初期不良があり、無償修理の対象になっていた。ある日、開いた状態で持ち上げると、画面の左側のふちの部分がパッキリ割れて中から銅の色をした配線のようなものが見えた。あわてて購入先に持参すると、初期不良で無償修理とわかった。その後、モデルチェンジして強度を増したようで、「丈夫」というのをセールスポイントにしていたから恐れ入る。そんなことも懐かしい思い出だ。

     保衛処に集められた遺失物の保管期間は3日間だそうだ。それで、置き忘れた教室のあるビルの守衛さんに「もう閉まっているかもしれないけど、宿直はいるはずだから、届けを出しに行きなさい」と言われて、たまたまその建物に行く建物管理のおじさんが通りかかったので(まるで都合のよいドラマのようだが、本当)、一緒に連れて行ってくれた。中国の北の方の人は背も高いし足も長いので、歩くのが非常に早い。ついてゆくだけで疲労困憊。

     さて、そこはプールのある棟の3階であった。責任者のおじさんが面倒そうに話を聞く。部下らしきお兄さんが尋ねる。

    「学生?教員?」

     ああ、この土地に来て幾年月(というほどでもないが)、何度この質問をされたことか。私は日本の、いわゆる「ファミコン無き最後の世代」だ。と言えば何年生まれか、諸兄諸姉にはおわかりだろう。そんないい年をして、なぜこんな質問をされ続けるのだろう。どこか一本抜けていて子どもに見えるのか?

     身分証明書を見せて、教員だとわかったら対応が幾分丁寧になった。基本的に、助けになろうとしてくれている姿勢は十分見て取れた。余談だが、その事務所は、さまざまなファイルに表題をつけたものが整然と立てられていて、これまで見たどのオフィスよりも仕事をしておりかつ能率が上がっている、という雰囲気であった。ということは、紛失物がいっぱいの環境である、ということだから、それほど喜べる話ではないのだが、まあ、いいさ。きっちりとワープロ字でプリントアウトされたラベルの貼られた背表紙を眺めながら、いくらか望郷の念にかられる。

     「巡回の守衛が見つけたらすぐ連絡するからね」と、紛失届の書き方を教えてくれたお兄さん。「僕たちも探すけれど、君も、同僚や学生に声をかけておきなさいね」と、責任者のおじさん。くれぐれもよろしくとあいさつして辞す。

     思えば簡素な辞書であった。電池を入れ替えるとせっかくの履歴が消えるのが残念だったが、今思えば、それくらいあっさりした辞書だったからこそ、諦めも着くのかもしれない、などと思ってもみる。もしこれが、私のこれまでの中国語学習歴の詰まった辞書だったら、一週間は泣き暮らすのではないだろうか。しかし、じきに向こうも忘れるんだから、こっちもあっさり忘れるさ、これでいいのだ。

     現行の辞書は、しゃべったりなんだりと多機能になってしまったようだ。もし万一買い直さなければならなくなったら、使いこなせるかわからない。紙辞書は重くて今更持ち歩けないし、またしばらく悩みの季節が続きそうだ。

     さらば愛しの電子辞書。本当に世話になった。見つからないと決まったわけではないが、心の準備だけはしておこう。困ったときはいつもそばにいてくれる、いい奴だった。☆

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    北京のプチ交通事故(5) 電動車で転ぶ

     海道に、日本一長い直線道路がある。国道12号線という。それはさておき、北京の道も長い。はるかに見える電器ビルに行くのに一本道をひたすら走るだけ、ということもある。自転車も連日になるとかなり疲れる。年齢か? 肥満か? はたまた怠惰か? いずれにせよ、バッテリーを積んだ電気自転車(「電動車」「補助車」と呼ぶ。見た目がバイクそのものでペダルのない電動車は補助車とは呼ばない)を購入することに。

     さて、36ボルトのバッテリーを積み、自転車に極めて似たスタイルのものを一台購入、時速5キロ以上出るとアシストが始まり、電源を切ってこぐと、そこで発電された分はバッテリーにたまるのだそうだ(24ボルトの型にはこの機能はない)。1550元なり。かごはサービスしてもらい、極太のチェーン鍵は別なところで調達し、まずは満足。

     自転車王国中国ではあるが、最近とみに増えているのがこの電気で走る乗り物である。大学構内を走るパトカー、日本流に言って福祉タクシー、ガソリンで走るバイクと見まごうばかりの、こわもての電動車もある。電気リアカーももちろんある。これはお仕事用。

     さて、入手後1週間と少々、闇夜の繁華街(矛盾しているようだが本当)を帰宅途中、宿舎へ向かう私道でコケた。スピードが出ないように道には規則的に凸型の金属が設置してあり、いつもはその継ぎ目を上手に抜けてゆく私であったが、慣れない電動車と、ああ、帰ってきた、という安堵から油断したのか、「あっ」と思うが早いか左に転倒、これはまずいと思ったのか思わなかったのかは不明だが、とっさに手で顔を覆ったような気が。右ひざ内側と、顔の左側をアスファルトでごーんと強打して地面に転がった。

     「なんだなんだ」

    道行く学生たちが集まって来る。

     「立てるか?」

    両側から腕を貸してくれる。

     「これ、携帯」

    地面に転がっていたものを拾って渡してくれる。

     「はい、メガネ」

    転んだ衝撃で飛んだらしい。とんだことだ。なんちゃって。

    10人もいただろうか、みな本当に親切なのだ。

     「さっき携帯をひろってくれた人、ちゃんと渡してくれましたか?」

    女子学生が尋ねる。なんて念入りな親切なんだ。

    とりあえず大丈夫だとわかると、

     「よかった、立てるようだ。折れてないね」

     「スピードの出し過ぎだよ」

    などと声が聞こえる。学生たちに心からのお礼を言う。みな、方々へ散ってゆく。

     電源を切って、縁石まで電動車をころがし、ふと、口の中に不快な感触を得て吐き出すとけっこうな血が。わわわ。これは歯で唇を切っただけだと後でわかるのだが、その前は歯でも折れたかと非常に恐れた。

     かくして再び、「骨科」のお世話になった。また戻ってきたきまり悪さに、

     「先生こんばんば」

    ではなく、開口一番、

     「おはずかしい」

    と言ってしまった。前と同じように、親切に状況を聞いてくださり、念入りに問診と触診、レントゲンは膝だけでいいと判明し、

     「20から30分、準備にかかるけれどいいですか?」

    とおっしゃる。これは帰宅後に考えたのだが、おそらくレントゲン技師の先生にかけつけてもらったのだろう。

     今回は友達夫妻についてきてもらっていたので心強かった。一人じゃないって素敵と歌ったのは天地真理だったが、なんとなくそういう気持ちだ。

     さて、骨は無傷とわかり、顔だけ冷やすことになり、携帯カイロの逆のような作用をするものを3つ持たせてくださった。家でよく見ると、何か結晶が入っており、その反対側には、ファスナーつきビニール袋に入った別の結晶が。これをもみもみして中の袋を開けてもう一方と混ぜると冷える。15分冷やして15分休み、を4回繰り返すように、とのことだった。

     翌日の朝、まぶたが見事に紫色に。

     「今日はパンダとの共通点が二つできた」

    1.目のまわりにクマが。

    2.一日中ごろごろ。

     仕事は翌日だけ休ませてもらった。気がつくと、前回、眠っていて追突された反省からか、今回は転倒の際に思い切り肩や胸の筋肉に力を入れていたようだ。筋肉が痛い。おお、進歩だ、などと地味な喜びに浸りつつも、明日の出勤前に、このパンダ目をどうするか思案中のたおたおであった。☆

    ※自転車の写真に良いものがないので、撮影次第アップロードします。ちなみに、中国語でアップロードを「上載」と書きます。これはわかりやすい。ダウンロードは「下載」。漢字の造語力恐るべし。

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    北京のプチ交通事故(4)

     チ交通事故から1か月少々経った。最後に病院へ行ったのはもう2週間以上も前である。お医者さんは丁寧に、関係するレントゲン写真を見せて説明してくれる。

    「通常、ここにヒビが入ったり、ここが潰れたりというのが多いんです。でも、きれいですね、ほら。ここも問題ない。ここも、そこも」

    と、CTを微に入り細にわたって解説してくださった。比較的早くカラーも取れたので、非常に軽く考えていたのだが、そうか、そんな、中味の奥の方が割れたり何だりするものだったのか。改めて少しこわくなる。

     このとき、二種類の画像を示して、三次元より二次元の方がよく見えるものもある、ということを話してくださったのだが、残念ながらその部分はよく理解できなかった。おそらく日本語で聞いてもしばらく理解できないであろう概念だった。ただ、実際に、3Dのサンプル画像を見せてもらって比較すると、確かに今回、先生が見たいとおっしゃっていた部分についてはあまりわからないかも、と思った。私が素人だということを差し引いてもである。

     そして、

    「一番大事なのは運動、二種類あります」

    とおっしゃって、

    「まずは、筋肉を伸ばす運動」

    と、6方向に20秒ずつ伸ばして戻す、という運動を教わった。

    「次に、力をつける運動」

    これはいわゆる、アイソメトリック運動だった。頭の後ろで手を組んで、そこに頭を押しつけるようにして筋肉を鍛える方法だ。それを、前後左右、そして、右向き、左向き、とやる。

     話は一般的な運動に移った。昨年、以前楽しんでいた水泳に20年ぶりに行ったら、初回が5分、二度目が7分で疲れてしまったという話をして、これでも運動になっているんでしょうか、と質問してみたのだ。骨科の先生に教わる貴重な機会だ。せっかくだから何でも聞いておこう。

    「運動はね、たとえば、一日山登りをして、膝でも痛くして1か月何もしない、というのよりも、散歩に出て5分で疲れたから帰ってきて、翌日はお休み、その次の日にまた散歩に出て、7分で疲れたから帰ってきて、というふうにでも続けた方がいいんですよ。続ける、これが重要」

    おだやかな先生の語気が心なしか強まる。

    「中国人はみんな忙しくて運動をしないで過ごして、退職してからようやく運動を始める人が多いんです。それに比べれば、あなたはすでにもう始めているんだから偉い。あとは続けるだけですよ」

    運動に関してほめられるとは思わなかったので素直に喜ぶ。

    お医者さんは手元の紙に、

    1.首の柔軟体操と、筋力をつける体操

    2.普段の姿勢

    3.温める

    4.続けること

    と書いて、

    「上の二つが重要。すごく重要」

    と、もう一度念を押した。その紙ください、というと、きれいに書き直して帰りにくださるとのこと。ありがたい。

     さて、説明は続く。普段の姿勢については、

    「本当は、机の天板が斜めになっている方がいいんです。でも、中国にはそういう机はほとんどないなぁ。あ、『そごう』にあった。でも高かったですね」

    「日本のデパートですね」

    「北京のそごうですよ」

    きっと、目の玉が飛び出るほど高いんだろうと思った。こちらで商売を始めるという友達に、サービスについて勉強するなら日系のデパートを見たらいい、と勧めて見に行かせたのだが、

    「すごく高い。店員がくっついてきてうるさい」

    と、はなはだ不評であった。そしてその「高い」は本物だろうと思った。こちらで日本モノは高級品なので、安心ではあるのだが驚くほどの値段のものがけっこうあるのだった。まあ、天板が斜めになる机は日本で買っても結構するだろうけれど。

    「じゃ、自分で工夫して作ります」

     丁寧にお礼を言って帰宅。たまに頭痛がすることもあるにはあるが頻度は減っている。筋トレの成果か。それにしても、いい先生に出会ったものだ。プチ事故はもちろんいやだったが、得た物の方が大きい交通事故であった。ただ、もう十分、勉強になったので、これで終わりにしたい。☆

    Tamanora081102_029s ※写真は中関村大街の夜。タクシーの窓から。すいている時は自転車で20分の道のりが、渋滞の時には車で40分以上もかかる。バスの排気ガスにむせびつつ撮影。

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    安全なら何でも良いのかな?

     ョコチップクッキーを買った。なんでも2007年天津食品安全なんとかに合格したそうで、値段は安いが中味は安全らしいのだった。

     さて、開けてびっくり。写真右はパッケージの写真、左が実物である。あるいは何かの間違いかと思い、10枚ほど確認したけれどもすべてほぼ下のような見た目であった。

     安全第一。それはいい。しかし、人間とはなかなか貪欲なものらしい。安全が手に入ると、ついその先を求めてしまう。せめてもう少し、たとえばチョコチップの数だけでも、写真に近ければ良いのになあと思ってしまうのは、ぜいたく過ぎるだろうか。☆

    Tamamomi081111_021s

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    北京のプチ交通事故(3) 

     うもカラーがじゃまなので、さらに、どうもカラーのせいで回りがよく見えず、路上で二次災害に会いそうなので、ためしにカラーをはずして一日過ごした。多少つかれた程度で特に問題なし。翌日もはずして仕事、特に問題なし。

     さて、病院からCTの結果のお知らせ電話が。先生からの伝言で、看護士さんがかけてくれた。曰く、「全く問題ありませんでした、痛くなかったらカラー外していいですよ」とのお言葉。ちょうど良かった。結果オーライだが、まあいいさ。診察日を予約して電話終了。

     ここで、当地で交通事故にあうかもしれない日本人のみなさまのために、ここしばらくの間に得た豆知識を。普段、健康でぴんぴんしている方も、もらい事故だけは自力で避けようがありません。したがいまして、もし万が一、自分が巻き込まれた場合の対処方法をおさらいしておきましょう。

    ※写真と本文は無関係です。関係のある写真にはナンバーまで写っているので、個人情報保護の観点からアップロードできません。残念。

    Tamanora081016_078s 日本編

     1.海外旅行保険に入っておく。日本でできることはこれくらいでしょうか。あとは、乗り物で眠らない訓練、路上で注意を怠らない訓練?

    現地編

     1.タクシーで事故にあったら、自覚症状はなくとも、そのタクシーで病院に連れて行ってもらう。後から言っても相手の保険での治療はできないので、保険に入ってこなかった方は大出費に。

     2.普段から、万一の場合はどこの病院に行くか決めておく。路上で転ぶなどしてケガをしたら、救急車よりタクシーで直行した方が早い。

     3.救急車は有料。呼んだ人が払うことになっているそうなので、通りすがりの人に呼んでもらうのはまず不可能。自分の携帯から電話をかけて呼び、親切な人に携帯を渡して場所の説明をしてもらうといった助力を得る程度が最大限か。ちなみに番号は120番。119番は火事だけなのでご注意を。交通事故時の警察は122。

     4.旅行保険の証書は常時携帯。災難は忘れたころにやってくる。

     5.保険に加入していない方は、万一の医療費に備えて現金を多めに現地系の銀行に入れておき、キャッシュカードを作って常時携帯するか、クレジットカードを携帯するのがお勧め。領収書は大事に保管しておき、帰国時に国民健康保険やその他自分の加入している保険に申請すれば、所定の割合の負担を超える分は戻ってくるはず。一時的な出費に備える。外国人向けの病院はクレジットカードOKなはずなので(ご確認ください)、クレジットカードだけでも何とかなる。

     とまあ、こんなところでしょうか。みなさまのご無事をお祈りいたします。☆

     

     

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    北京のプチ交通事故(2)

     さて、事故後二日ほど経って朝起きると、首と肩に激痛が。仕事は休めないのでそのまま行ったのだが、もう「たすけて~」のレベルに達して、ほとんど泣きそうになりながら、恐怖さめやらぬタクシーで病院へ。日本語を話す看護士さんを相手に不覚の涙を流してしまった。心細いときほど母語は心にしみる。

     お医者さんは非常に丁寧かつ紳士的、安心させつついろいろな検査をしてくれた。左右の感覚が同じか、握力はどうか、ひじを「コン」と叩いてみての反射はどうか、などのテストをされていると、ああ、プロだなぁ、安心だなぁ、という気持ちが湧いてくる。ちなみに後日、受付に置いてある名刺を貰ったら、「骨科」と書いてあった。わかりやすい。

     「相手の車のナンバー控えてある?」

     「写真撮ってあります」

     デジカメで再生。

     「どこに座ってたの?」

     「後ろです。眠っていました」

     「ああ、眠るのは一番よくないんだよ。飛行機の安全姿勢知ってるよね?」

    そう言うと先生は、前の座席に手をかけて額をつけて下を向く、あの姿勢をして見せてくださった。患者に一点の疑問も残さないように説明しようとする姿勢が見えて安心する。

     「この格好をすると、筋肉に力が入るから被害が少ないんだよ。でも眠っていると、筋肉の力が抜けているから、揺さぶられてけがをするんだよ」

     寝るなー、寝るなー、と、実は心の中で叫んでいたのだ。でも、どうしてもどうしても、どうしても眠くてまどろんだ瞬間に、衝突は起きた。まあ、間の悪い時はそんなものだ。

     「神経は大丈夫。左右の感覚も同じだし、さっき調べた反射も正常だし。でも、万一を考えてレントゲンを3枚撮ります。」

     そのレントゲン、一枚は口を開けて撮るのだった。そのあたりは多くの骨などが重複しているので、それをさけて頸椎の上の方をしっかり撮影するためだそうだが、これがうまくゆかなかった。横からの写真は成功。現像前にモニタで見られるのでびっくり。最近のX-rayはデジカメなんだろうか。いや、そんなあほな。

     先生はレントゲン写真を見て、丁寧に説明してくださる。

     「首の骨は7個あって、一番上が頭がい骨にこういういふうに入っていて、だから首がこう、左右に回るんです」

     知らなかった。私はまた、7個の骨が、軟骨のクッションと一緒にうやむやのうちに適当に回っているんだと思っていた。

     「この骨と骨の間、狭くなっているけれど、これは筋トレで抵抗できるから、後で教えてあげる。でも今はやっちゃだめ。」

     そうなのか。対策があるのか。うわー。

     実は2年前に日本で出会い頭の衝突事故に遭った際、救急車で運ばれた先では「2,3か所つぶれてるね。これなら仕方ないね」のような対応だったので、かなりがっくりきていたのだが、そしてその後、信頼できる先生の所へ転院した後も、「自分で納得するまでリハビリして、それでやめるというのが実際的かな。これは治らないよ」という風だったため、かなりあきらめていたのだが、この先生の対応は全くちがった。

     さらに、記憶にある2年前の写真より、骨と骨の間が広く開いている。救急担当の病院は地域でも藪だと評判であったが、本当だったようだ。

     中国人の先生が続ける。

     「念のために、カラーを2週間つけてて。恥ずかしいとかなんとか思っちゃだめです。」

     ああ、先に言われた。

     「長くつけても筋力が弱ってよくないから、2週間たったら、筋トレの方法を教えてあげましょう。寝るときは取ってね」

     そうおっしゃると、メジャーを出して首回りを測り、カラーを取りに行って戻っていらしたその手には、日本語が書かれた薄い箱が。なぜか望郷の念が湧いてくる。人間とは弱いものだ。

     「日本のものですか」

     「設計が日本なんだろうね」

     説明書をくれたのだがすべて中国語だった。

     「どう? どこか苦しいところとか、あずましくないところ(注:uncomfortableの意)ある?」

     「なんだか、下、向けません」

     「そういうものなんだよ」

     ・・・・・そうなのか。今後2週間が思いやられる。

     「今回、よく撮れなかったところはCTを撮るけれど、まず保険会社に確認して、いいかどうか聞いてみますね。でも、まず間違いなく大丈夫でしょう。首は誰でも、『よく見えないから、ままいいか』って流せる場所じゃないからね」。

     かくして、その日は、下がよく見えないカラーを付けて、やっぱり怖いけれど疲れ果てたのでタクシーで帰宅した。(つづく)

    ※本文とは無関係ですが、懐かしの、子猫時代のタマ。☆

    Nekobildcompe0804_045s

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    北京のプチ交通事故(1)

     北京でタクシーに乗っていたら、追突事故にあった。雨の環状線で、乗っていたタクシーがスリップし、前にいたアウディにごっちん。さあ大変。

     「なにやってんだ!」

    前の車からドライバーが下りてくる。

     「雨で滑ったんだ!」

    タクシーのドライバーさんが答える。

     正しい答えだ。しかしこの場で、こう答えていいんだろうか。先の質問は修辞疑問文(答えを求めない疑問文、答えると火に油を注ぐ場合もある)じゃないんだろうか、などと考えていると、車は環状線を降りて、脇道へ。

     「ちょっと待ってて」

    とかなんとか、ドライバーさんが一言行って車を降りた。トランクから保険の書類を出してきたようである。続いて後ろに止まったアウディからもドライバーが下りてくる。タクシーの前の座席に二人ならんで相談開始。

     北京では、小さな事故の場合、当事者同士が合意すれば警察を呼ばなくても良い、という法律がある。いちいち呼んでいたら警察官が何人いても足りないからだろうか、などと推測する。それはさておき、どうやらこの事故は「小さな」事故だったようで、さっそく、ドライバー同士で、お互いの保険会社に連絡していた。

     ふと、疑問が思いをよぎる。

     ......後ろにお客がいることを忘れていませんかね?

     とりあえず、どこで何が起きたかくらいはメモして証明してもらおう、と思い、日本語堪能な同僚に電話をかけ事情を説明、同僚からドライバーさんに中国語でお願いしてもらうことに。複雑な話は中国人同士に限る。

     「ちゃんと目的地まで連れてゆくから大丈夫だって言ってます」

    と同僚。そういうことでなくて。

     「お医者さんにかかるときに必要かも知れないから、絶対欲しいんです」

     「じゃ、もう一度頼んでみます」

    ドライバーさんは、左手に保険屋との携帯、右手に私が渡した携帯を持って、両方に器用に対応している。その間に、保険屋にも質問したようで、携帯が返ってくると、

     「メモなんかしちゃうと、自分の保険に請求が来るんじゃないかって言ってます」

     「日本ではそれが当たり前です」

     「保険屋は、証明を書くなら、あとから保険への請求はできないと言っています。もしどうしてもということなら今すぐ病院に連れてゆくそうです」

     実は、日本でも2年前に、出会い頭の衝突事故を経験しており、このとき、相手の保険で治療をしたため色々とややこしいことが生じたため、もう他人の保険で治療をするのはこりごりだった。道理には合わないが、今はまあ、多少、肩が痛い程度だし、もう早く帰りたい、ううう、になっていた。

     「いいですいいです。自分の保険でかかりますから、書いてもらってください」

    メーターは止めたと言っていたが、この時点ですでに予定時間から30分は経過していた。しかも脇道に入っているので、目的地への最短距離ではあるまい。日本では、タクシーが途中で何かの事情によりお客を目的地まで送り届けられなかった場合、下車した場所までの料金は払う必要はないそうだ。この点について同僚に聞いてみた。

     「払うんじゃないでしょうか」

    ......そんな気はしていた。

     さて、前の座席の二人は、お互いの保険の話し合いで忙しい。私は言った。

     「降ります」

     すると、運転手さん、突然、後ろに客を乗せいていることを思い出したらしく、衝突相手に「じゃ、明日の朝8時半に」などと言ってから、車を発信させた。

     運転手さんは終始へらへらにこにこしている。「よくあることだからじゃないですか」と、あとから同僚に聞いた。こんなのがよくあってたまるかと思ったが、1年に10万人近くが交通事故で亡くなる国だ。このようなプチ事故ならいくらあっても不思議はない。

     さて、目的地の宿舎について、フロントでペンを借り、

     「さあ、書いて」

     「どう書いたらいいの?」

     「日付と、場所と、あと何が起きたか。さあ書いて」

     「どう書くの?」

    押し問答。

    いよいよ頭に来て、再び同僚に電話、これこれこういうわけなので、とにかく書いてくれともう一度言ってください、と頼んだ。やっとペンを取る。日付が208年になっている。3世紀に起きた事故かい!

     「ええと、×○って、どんな字だっけ?」

    本当に書けない様子だった。責めすぎて、ちょっと気の毒だったか。

     「ほんとにすみませんでしたね」

    ドライバーさんは、最後までにこにこ、へらへら、微笑みながら去って行った。初めて出てきた謝罪の言葉であった。

     「本当に気をつけて帰ってくださいね。とんでもなく眠そうでしたから」

    そう言葉をかけて、私も部屋へ戻った。

     その晩、布団をかぶりながらふと考えた。信号で居眠りするドライバーさんにかける言葉としては、

     「眠いんですか?」

    よりも、

     「次の角で降ります」

    の方が良かっただろうか。ここは私の落ち度であった。(つづく)

    ※記事には関係ありませんが、心和む写真を1枚。

    Tamanora081016_110s

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    北京生活の知恵:安全なヨーグルトを求めて

      国の牛乳問題は日本でも広く知られるところとなったようで、実家に電話すると開口一番、牛乳に気をつけるように言われた。確かにここ北京でも、スーパーの店頭からはメラミンの検出されたメーカーの製品はほぼ姿を消し、「厳格な検査を経たもの」(店員さん談)だけが置かれている。先週行ったスーパーは、棚がガラガラだった。別のスーパーには、さすがに三鹿の製品は置かれていないものの、他のメーカーは無頓着に置いてある。ううむ。

      さて、職場には数か所のスーパーや食料品店がある。その一つの、ごく小さな店で、「三元」というメーカーのヨーグルトと、北京名物の、昔ながらの陶器入りヨーグルトを発見した。

    「おじさん、これ、安全?」

    「安全さ。三元のだよ。こっちは老北京(らおべいじん:昔ながらの北京)のだし。」

      三元というメーカーは、50回以上の抽出検査でもメラミンが検出されなかったという話題のメーカーである。昔ながらのヨーグルト、というのは、下部がふくらんでぽってりした、白い陶器の入れ物に薄い紙の蓋をかぶせてある、ちょっとレトロな雰囲気のヨーグルトだ。この紙の蓋にストローを指して飲む。店頭で飲めば2元、容器を持ち帰る場合は3元で、容器を持っていくと1元帰ってくる。なんとなく懐かしい仕組みだ。

      三元はとりあえず安心してよさそうだ。一方、昔ながらのヨーグルトは、原料がどこから来たのかが問題ではある。しかし、品薄だ、ないない、と騒がれれば騒がれるほど恋しくなるのが人情だ。ここは一つ、これ以上何も問わずに飲むことにしよう(ちなみに中国では、ヨーグルトは「飲む」ものである。小さなパック入りでも、買うとストローが付いてくるし、500ミリリットル入りでもついてくる。一度に飲めというのか?)。

      かくして、自分が健康被害にあっているのかいないのか全く不明なまま、そして、先般から口に入れているヨーグルトが安全なのかそうでないのかの確証がつかめぬまま、とりあえず一番安全らしい、と思われるものを選んで毎日飲んでいる。まあ、とりあえず今は三元のと、老北京のにしておこう。☆

    これは個人的な決定ですので、皆様、どうぞ自己責任で選択をお願いいたします。

    <おわび>写真をアップロードしたかったのですが、サイズ制限を超えてしまってできません。カメラの設定なのか、何なのか、原因がわかって解決次第、改訂版として写真付きの記事をアップロードします。☆

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    北京空港の新しい電車は3分ごとに来ます。

     京空港は巨大になった。巨大になったので、日本の成田や名古屋空港のように、電車に乗って搭乗口最寄りの場所まで移動しなければならない。乗り場への下りエスカレーターを降りつつ目に飛び込んできたのが写真のサイン。「急がないでください。3分待てば来ます」。急ぐな、の英訳が Relax なのもなかなか洒落ている。☆

     Tama080728_157_2

     

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    北京五輪も始まった。

      京五輪も始まった。直前に現地から届いた便りには、

    「空気が良くなった」

    「昨日なかった花畑が今朝できていた」

    などの楽しい知らせが書かれてある。そういえば、私の以前の職場も会場になっていたので、一日半ほどで並木ができたりしていたなぁ。

    Tama080728_151

      北京は地下鉄も開業して、とても便利になったようだ。なにしろ空港から東直門まで一本で行けるという。東直門からなら、街中のホテルまでタクシーに乗っても知れているから相当の節約になるし(空港から乗っても、高速料金込みで、40分くらい乗っても100元程度だが、現地ベースの給与をもらっている身としては安くはない)、渋滞知らずの地下鉄だから時間の節約にもなる。

      閑話休題。

      タマは無事なんだろうか。ああ、タマは無事だろうか。早く北京に帰りたい。飛行機が週2便しかない所に旅に出てしまったため、20日まで帰れないのであった。☆

    ※写真は第三ターミナル。香港・台湾も「国際出発」なのが何とも言えず......。

     

      

     

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    五輪の前に文化の予習(1)

      大陸から台湾への観光客の行動が、日本人の目には奇異だとしてニュースが配信されていた。(※このニュースはすでに削除されました。2008年11月28日追記)

      この中で、日本から大陸に行ったら、「これをしないと大変」という一事があったのでぜひご一緒に予習を。使用後のトイレットペーパーをどうするかである。

      使ったものは、さてどこに捨てるだろうか。日本では、トイレットペーパーであれば水洗トイレに流すことができるので、使用後は水中へ。一方、中国でこれをやったら、まず間違いなく2,3回で詰まる。さまざまな理由が噂されているが、おそらく、下水管が細い、というのが一番信憑性があると思われる。次に、売られている紙の質も極めてピンキリなため、高級な紙であれば水ですぐに崩壊して事なきを得るものの、妙に丈夫な紙に当たった日には、おそらく水に遭った後もけっこう丈夫なままだろう。そのようなわけで、細くない下水管であっても、トイレに紙を流すと、詰まる可能性は常にあるのだ。したがって、大陸では、使用後の紙は、そばにある大きめのゴミ箱へ、となるのだ。

      ついでなのでもう少し。

      高級ホテルのベランダに洗濯物を干して景観が台無し、という件だ。洗濯したら、一番乾きやすいところに干すのが合理的判断だ。そうなのだ、合理的判断に従えば、ベランダ、なのだ。ただそれだけのことなのだが、場所を変えてやってしまうとこれが大変、というわけだ。ちなみに私は、宿舎の裏手の木と木の間にロープを張って布団を干していた。これは天気の良い日にみなやっている。それを旅先のどこでもやっていいのか、ということになると話は別である。まあ、慣れ、だろう。旅行慣れすれば、徐々にそのあたりにも気をまわしてくれるようになるだろう。

      さて、所かまわず大声をあげる、という点だが、こちらに来ると、普通に話している人の声でも、すでに相当大きいのがわかる。大きいと言おうか、通ると言おうか、欧米人の声の通りとはまた別の、声帯がしっかり合っていて空気が無駄なく声になっている、びーんとした声でどこまでも聞こえさせる感じの声である。人々の間でささやかれている理由は、中国は人が多いので、大きな声を出さないと気づいてもらえない、というのがある。普通に会話している人がすでに賑やかなので、「お客さん、お釣り忘れてるよ」なんて声を届かせるには、それを一段上回る声が必要だ。そして、これは日本人の若者が海外旅行に行き始めた頃の「きゃー、かわいいー」のような嬌声ともまた違う。話し声なのだ。

     BGMのないレストランで、話し声だけで十分にぎやかなのを感じるにつけ、あるいは、地下鉄の騒音に負けずに会話する周りのみなさんの声を聞くにつけ、こちらの人にとって「うるさいからできないこと」というのはないんじゃないだろうか、と思ってしまう。その習慣が、場所を変えて続いているだけのような気がする。五輪を見に来たら、お連れ様とはぐれないように、大声で呼び合おう。

    Hutong080525_127

      舞妓さんや、奇抜な格好をした人の写真を無断で撮って人権侵害という点についてはどうだろう。日本人でも何人でも、けっこう無断で人の写真を撮っていないだろうか。旅行の写真をまじまじ分析すると、けっこう知らない人が写っていたりしないだろうか。このあたりは微妙だが、かく言う私も、西直門の広場で踊っている一群の人々にカメラを向けつつ、その中で、特に衣装に気合の入ったおじいさんをどうしても撮りたくなり、かといって踊りの邪魔をしてもなんだ、と思い、考えあぐねた末、一礼して、フラッシュを焚いて撮ってしまったことがある。その時のおじいさん、ますます張り切って、私によく見えるように一人離れて演舞をしてくれた。こうしたおおらかな感覚の人が海外に行ったとすると、写真を撮られて嫌がる人がいるとか、人権侵害になるとかは考えもしないだろう。むしろ、ほめている気持ちで撮っていると考える方が本人の気持ちに近いと思う。

      要するに、なんというか、ある程度はお互いさまな気がするのだ。かつて、日本のノーキョーの旅行が恐れられた時代があっただろう。そして、時間が経てば旅行に慣れる、という側面は確かにある。まあ、そんなわけで、今日は北京名物の甘味の写真をどうぞ。☆

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    五輪の前に禁煙を

      ある大学の巨大な学食。この辺りの飲食店はどこもほぼ禁煙になった。お国から通達があったのだろうか、おびただしい数の柱の同じ高さ、同じ場所に禁煙サインが設置されている。しかし、オリンピックの啓蒙ポスターの上に貼っていいのか?☆

    Tamauni080620_085

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    番外編:幻のうさちゃん

     京の街角には色々な人がいる。夏、風呂のイスを持ちだしてランニング姿で碁にふけるおじちゃんたち、秋から冬にかけて、ドラム缶を改造した窯を自転車で引いている焼きイモ屋に、石焼き風の焼き栗屋。子犬の入った段ボールを地面に置いただけのペット屋はいつも若い女の子でにぎわっている。本屋、瀬戸物屋、なぜか靴下屋、串焼き屋に果物屋など、集まってくるとちょっとした市場になる。

     ある日、自転車で台を引いて道端にいた金魚屋に、なんとうさちゃんがいた。日本ではペット屋が副業的に金魚を売るのを見たことがあるけれど、この店ではうさちゃんがおまけらしい。

    071128usa_009_4

    「何食べるの?」

    「白菜」

    「水は?」

    「いらないよ」

    「いくら?」

    「30元」

    「安くならない?」

    「ならない」

    「かご、いくら?」

    「20元。もともと25元」

    「30分後にまだここにいる?」

    するとこのお兄さん、隣で本を売っていたおじさんの方を向いて、

    「どうだろう? 30分」

    「大丈夫じゃないか?」

    と、怪しい会話の後、

    「多分、いるよ」

    と答えたが、あまり確信がある風でもなかった。

     違法営業なのだろう。警察が来て追い散らされている光景を何度か見たことがある。しかし、このちょっとした市場は、生活にうるおいと実際の利便を与えていることも確かである。寒い日に焼き芋で暖を取ったり、帰宅途中に焼き栗を買って家でのんびり食べるひとときはこたえられない。

     さて、うさちゃんである。3羽いた中、体が白で耳だけ薄茶色のにしようと心に決めたはずだった。ところが、お財布に現金を補充して戻ってくると、黒いうさちゃんに何とも心惹かれるものがあり、さらに、その頭のてっぺんにだけ少し白い部分があるのが気に入って、黒ウサギを買うことに。

     そんなこんなで、うさちゃんを連れて帰った。これがまた従順な生き物で、抱っこしてなでるとすやすや眠るし、頭の上でゆびをくるくると回すと、それに合わせて回転する。小学校でその昔習った「うさぎのダンス」という歌を書いた人は、こういう性質を知り抜いていたに違いない。

    071128usa_002

     ところがある晩、横向きに寝ながら何か寝言を言っている様子を見たのが最後で、翌朝になったら動かなくなっていた。1週間も生きていなかった。うさぎは寂しい思いをさせるとしぬことがあると聞いたのを思い出し、愛情が足りなかったのだろうかと後悔に沈んでいると、友達が、

    「路上で売ってるのはだいたい病気だよ」

    という。私もそんな気が、実は買う前からしていたのだ。ペットショップで買った方がいいよ、と自分で自分に言いながら、でも、一度、路上のうさちゃんにだまされてみたかったのだ。

     赤ちゃんのようにかわいいうさちゃんと、数日一緒に居られただけでも楽しかったではないか。しかし本当によくなつく動物なのだな。かくしてうさちゃんは、北京の思い出のひとコマに収まった。☆

    |

    北京で暮らすカメ(その7 癒し系?)

    ある朝、ふと見るとこんな光景が。「まあ、元気出せよ」、のスタイル。カメなりに色々あるのだろうか。☆

    0712123iroiro_019

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    北京の日本語(その1)

      菓子の袋の裏側。「紙」とあるが、包装のどこにも紙はない。さらに、「プラ」の「プ」の字も怪しい。日本語ならなんでもいいらしい。☆071219kamepura_001

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    番外編:中米合作!?北京の民間風邪薬

     ーラ+酢+にんにく=風邪薬。

    071214ganmaoya_005

     風邪が長引いて、咳で腹筋も痛くなってきたある日、友達から上記の処方を勧められた。

    「コーラって、コーラ?」

    絶対に聞き間違えだと思ったが、紙に漢字で「可楽+酢+蒜 治感冒」と書いてくれたのを見ると、本当にコーラだった。

     一緒にいた別の友人が言う。

    「そうそう、コーラってけっこう薬効あるの」

     病院でもらった香港の咳止めシロップもなかなか効きそうな味だったのだけれども、そうか、そう来たか。コーラに酢ににんにくか。念のため、別な友達にもメールして処方と効果を確認。

     「効くよ、僕も飲んだことがある」

     どうやら、こちらでは一般的な民間薬のようだ。

     さて、藁にもすがる思いでコーラを購入、家にあった黒酢(こちらのスタンダードなもので、1瓶3元程度)を冷蔵庫から取り出し、台所に転がしてあったにんにくを刻んで持ってくる。

     カップにコーラ、そして酢を注ぐ。色も似ており違和感はない。爆発するでもなく、共になめらかな泡を作っている。次いでにんにくを投入、軽くかきまぜると、ほどなくして泡は消えた。

     ううむ、効きそうな香りだ。鼻が詰まっているわりにはよくわかる。風邪を引いていなければ飲めないかも。

     おそるおそる飲んでみると、これがなかなかいけるのだ。ジンジャーエールのような、ガラナのような、そうか、ガーリックエールなのか。ガーリックコーラ? こちらにはいちご味のコーラがあるが、ガーリックも作ればいいのに。

     ほどなくして、二日も出なかった声が出るようになった。鼻も開通。中米合作?の風邪薬、合わせて5200年の勝利、というわけで、まずはめでたし。風邪でお困りの在留邦人の方、コーラが体質に合うようでしたら、どうぞお試しあれ。☆

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    ハムスター(その5 ごちそう編)

     ってきた餌は香港からの移入品らしい。中身を日本のミックスフードと比べると、ヒマワリの種が少なく、玄米のようなものと、ポップコーン?のようなものが多い。ペレットは、どう考えてもドワーフハムスター向けではない。直径1センチくらいある。このほかに、人参を鉛筆削り用のナイフで小さく切って与えている。両手で持って器用に食べて、飽きたらポイと捨てる。潔い。

     餌箱とハムのサイズの比率は写真の通り。時々、餌箱にはまりこんでいる。☆

      071211hamkame_013

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    北京で暮らすカメ(その6 日光浴編)

     春日和だ。日光浴。大きい方が、人を恐れず勇敢なので勇勇(よんよん)、小さい方がいたずら(淘気:たおちー)なので淘淘(たおたお)。私の筆名はここから取った。

     今日の勇勇は偉そう。淘淘は偉くなさそう。☆

    ♪写真

    大:勇勇071213hamkame_005

    小:淘淘

    071213hamkame_006

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    北京のハムスター(その4 かじかじ編)

    071212hamkame_012  じかじ用の竹箸を与えてみた。歯型がついているところを見ると気に入った様子だ。前歯が伸びすぎると困るので、かじれるものは必需品なのだが、日本ではスーパーなどで手軽に買えるかじかじ用のクッキーも近所では手に入らない。よく行くスーパーにペット用品コーナーはあるが、犬猫フードばかりだ。

     さて、先日、おうち用に与えた紙コップ、あれからずっと端をかじかじかじかじ.......竹箸があるのになぜ紙コップを? 前歯も減らないだろうに、と思っていたら、かじり取った紙を巣材にしているのだった。長さ数センチ、幅2,3ミリの帯状にかじりとって紙コップの中に運んでいる。床に敷いた木屑もたくしこんで、まずは快適なおうちになったようだ。☆

    071212hamkame_010

    ♪写真

    上:手の使い方がかわいい。ところで、なぜ目を閉じているんだろう。

    下:この後、ぷい、とかじりとってコップの中に運んで行った。

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    北京で暮らすカメ(その5)

     眠中のカメを起こしてはいけないと、多くのサイトに書いてあった。それで、非常にためらわれたのだが、とうとう起こしてしまった。

     ハムスターを買った店で、「部屋が暖かければ冬眠させなくていいのよ」と言われ、ついでにカメの「起こし方」まで教えてくれたのだ。

     1.温水の風呂に入れる。

     2.泳ぎ出すのを待つ。泳いだら「起きた」ということ。

     3.餌をやる。

     4.食べるのを待つ。

     5.洗面器に少しだけ水を入れ、石をいれ、時々湿らせてやる。

     うさぎに死なれたさびしさのあまり、上記を決行することに。カメはタオルで包んで押入れ?に入れてある。ドアをあけ、タオルをそっと開くと、いない! 一匹いないぞ!

     わたわたと探すと、そばに置いてあったプリンターの空き箱の横まで這い出していた。ということは、熟睡はしていないらしい。様子を見ながら上記手順を踏み、無事起床させた。

     あまりの痩せ方にショックを受けたが、2,3日で元に戻った。あの痩せ方では、冬眠させていたら、あるいは永眠してしまったかも知れない。今日も日向で甲羅干しの二匹である。ああ、動いてくれてありがとう。☆

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    北京のハムスター(その3 おうち編)

      が家の無防備なハムちゃんは、いわゆる「おうち」がなくても堂々と安心して寝てくれる。とはいえ、もともと土に穴を掘って暮らしていた動物なので、やはり隠れるところがあった方が快適には違いない。

     日本のペットショップには立派な「おうち」がたくさん売っている。こちらにもあることはあるのだが、みな日本からの輸入品なので、高い。日本の価格に比べればずっと安いのだけれど、現地の給料で暮らしていると、100元札がだんだん1万円に見えてくる。そんなわけで、たとえ20元の「おうち」でも、2千円と言われたように感じるのだ。そこで、紙コップを入れてみた。水入れの水を取り換えるのに使ったものだ。おもちゃにもなるだろうし。

     .......本当に、良いおもちゃになった。

     紙コップをかじる音は、ものすごいのだ。みなさん子どものころ、糸電話で遊んだことがおありだろう。あれに使うくらいなので、音が増幅して闇夜に響く。うー。

     今朝見ると、ちゃんと「おうち」に入って眠っていた。そうかそうか、やっぱりこういうところが落ち着くのだね。よしよし。☆

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    北京のハムスター(その2 間取り編)

     朴だ。非常に素朴だ。これ以上素朴なものは見たことがないというくらい素朴なケージだ。屋根を外して上から見ると、こんな感じ。屋根も周りと同じで、ワイヤーのようなものでできている。左上は水入れ、右下は餌入れ。お店のお姉さんがセットしてくれた。背伸びをして水を飲む姿はなかなかかわいい。ボトルより運動になるかも、と、スリムなハムちゃんを見ながら考えた。

     簡素な作りだが、けっこう実用的だ。水入れもわりと深いため外にこぼれないし、換気も最高、回し車も順調に回る。私のアパートよりまともな作りではないだろうか。

     ハムちゃんにとっても快適らしく、家に来た初日から安心スタイル(横向き)で寝ていた。

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    北京のハムスター(その1)

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    ムスターを飼うことにした。日本製のケージがほとんどだったが、あえて「国産」に。けっこう快適そうに遊んでいる。これまで金魚10匹、うさぎ1匹にしなれているので、日本で飼い慣れたジャンガリアンにした。長生きしてね。集中暖房のそばに置いた。

     ※台はプラスチック。普通は10元だそうだが、知り合いの店で買ったら6元に。

     ※中の白いものは、ひとつが餌用、ひとつが水用だそうだ。

     ※木のチップは10元。品質は日本のものとほぼ同じ。餌は輸入品らしい。400gで20元。

     

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    オリンピック前夜(その4) 五輪晴れ

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     て、五輪出場を賭した柔道公開試合の11月 15日、開始時間は12時ながら、10時台にはすでに入口に長蛇の列が。写真は入口に設けられた改札用テント。スタジアムは奥の茶色の建物なので、誤解なきよう。

     チケット販売所にはボランティアの学生たちが詰めており、外で誘導や案内をする学生たちはワイヤレスマイクのついたヘッドセットを付けて忙しく連絡を取り合ってる。いよいよという雰囲気が高まる。スタジアム周辺も昨夜で工事は片が付き、めでたく当日を迎えた。これでやっと安眠できるぞ。

     ちなみに、このスタジアム、五輪のあとはプールになるとか。現地の若者の話では、「蓋のあるプールで、はずして泳ぐ」というとなのだが、さてどんなプールなのか 。今度、詳しく聞いておこう。☆

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    番外編:本当に燃えていた北京

    071115gorin_040 11月15日午後1時15分頃、北三環入口手前1,2キロ??をタクシーで西向きに走りつつ、窓の外を見ていると、歩道の人々が立ち止まり、手に手に携帯やカメラを持って前方を撮影している。さて何だろう?と思って前を見ると、あちゃー、燃えている! 乗用車が、丸々一台!

    運転手さんに聞いてみる。

    「ひょっとして、テロ?」

    「いや、車にちょっと故障があったんだろう」

    「ちょっと故障すると、こんなに危ないのか?」

    「危ないよー」071115gorin_041

    「運転者は無事に逃げたかな」

    「逃げたさ」

     じきに消防車のサイレンが聞こえて来たので、通報は済んでいるようだった。ちなみに2時間後に逆方向から見ると、すでに何の痕跡もなかった。いやすごかった。本当にけが人がいないと良いが。☆

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    旬!オリンピック前夜(その3)

     

    071115_025日を 浴びて点呼。柔道会場の警備にあたる警察官だ。明日11月15日、近所の会場でオリンピック出場を決める柔道の大会があるとのことで(本当に「前夜」)、数日間、昼夜を問わず怒涛の仕上げ工事が行われ、ようやく完成を見たようだ。やれやれ、これで安眠できる。そして本格的な警備も始まり、会場敷地内の出入りの管理や、周辺のパトロールが行われている。

     数日前に到着したこのみなさん、宿舎が拙宅の窓から見えるため、朝な夕なに点呼や訓練が拝見できる。マンションの窓の1,2階には防犯のための柵があるため、少々見づらい写真になっている。お許しを。

     さて、観察しての印象に過ぎないが、こちらは犯罪を未然に防ぐために「見せる警備」が行われていると感じることがある。この人数で一糸乱れぬ隊列を組み、粛々と会場に移動するところを見せるだけでもけっこう抑止効果があるのでは。団地の警備員が縦列を組んで敷地内を練り歩く姿もよく見られる。

     昼休みに、近所の食堂のエレベータ前で数人のみなさんが待っていた。一人が他の一人の後ろから首にじゃれついて、お互いに全身で楽しそうにしている。オンとオフの切り替えの素早さも見事だ。見習いたい。☆

     

     

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    オリンピック前夜(その2)

    0711joojun_049   所のスタジアム前に、いつになく立派なトラックがとまっているなと思ったら、オリンピック用品専用の輸送車であった。

     トラックの後ろに見える建物は柔道の会場になる体育館だ。今月15日に選考会があるため、昼夜を分かたず仕上げの工事が行われいている。建物横の広場の敷石や街灯はすでにほぼ完了、これから中の諸々を設置するのか、初めて立派なトラックが来た。これを運転するのは誇らしいんだろうなぁ。そこのけそのこのけ状態で高速をすっ飛ばして来たに違いない。1枚撮ったら動き出したので、後ろの絵を急いで撮ろうとカメラを向けると、一瞬、止まってくれた。☆

    0711joojun_051

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    北京で暮らすカメ(その4)

    071031_011_2くなってきた子どものカメは冬眠する体力がない、という話を聞き、眠らせないことに。手近になにもなかったので、スタンドの電球で暖房を試みた。

     電灯が心配して覗き込んでいるかのような風情で、ほのぼのしてくる。うまく越冬できるだろうか。(つづく)

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    北京で暮らすカメ(その3)

    Kamejimushitsu_010  は二匹で買うととても仲良しになる、と、こちらの学生にきいた。さらに、その仲良しの一匹が臨終を迎えると、悲嘆のあまり他方も逝ってしまうという。事の真偽は不明だが、そうした認識がこの国にあることだけはわかった。そうか、そうなのか。そうも見えないのだが、と思っていたある日、二匹が向い合わせになり、互いの頭を互いの肩に載せて眠っているのを見てしまった。

    「......かわいい。かわいすぎる」

    心暖まるを通り越して、胸がきゅ~んとなる情景だった。カルフールで初めて自分のうちに来るカメさんをケースに入れてもらっている際など、その柄を見て

    「今なら間に合う、『やっぱり要らない』と言おうか」

    と迷ったのがうそのようだ。実はもともと爬虫類・両生類がたいへん苦手で、ワニ皮ヘビ皮の靴やバッグ・ベルトなども、見るだけで何となくこわかったほどなのだ。ところが、いざ実物が家に来てしまうと、あっという間に「うちの子」になって、朝晩声をかけつつ大事に育てたりしているので我ながら驚く。

     さて、そんなある日、うちにいる種類のカメはどうやらサルモネラ菌を持っているらしいことをネット上で発見、こちらにある「safeguard」という殺菌作用のある石鹸で、二日に一度洗ってやることにした。もちろん、水替えなど基本的な衛生管理は徹底することに。

     最初は「風呂」に抵抗していた二匹だが、手のひらに乗せたカメさんの背中を古い歯ブラシと石鹸でこすり始めるとあら不思議、なんだかぽわわ~とおとなしくなり、こすられるがままになって気持ち良さそうにしている。あるいは諦めたのかもしれないが、ともあれ傍目には非常に快適そうだ。

     カメ入浴の事実を知った友達が私をいさめた。

    「動物なんだよ、カメって」

    「いいのだ、きれいに育てるのだ」

    日本ではサルだって温泉に入るんだぞ、と思いついたのはついさっきで、その場では反論できずにいたが、まあ、本人?たちが快適そうなので引き続きしばらく風呂に入れることにしていた。

     ところがある朝、ちびカメの甲羅を見ると、水があるにもかかわらず、どうも乾燥気味なのだ。固い甲羅にうっすらと、亀甲型(当たり前だが)にささくれが見える。

    「石鹸のせいだろうか」

    次からは、石鹸なしでブラシをかけることにした。ほどなくしてちびカメの甲羅はつややかな状態に戻り、ほれぼれするほどの美しさになった......というのは親ばかの一種なんだろうなぁ。

     かの『養亀技術』をひっくり返して調べると、「ブラシをかけると喜ぶ」と、ちゃんと書いてあった。石鹸についてのコメントはない。要するにブラシが気持よかったようである。本はしっかり読みましょう。(つづく)

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    北京で暮らすカメ(その2)

    026しも友達が必要だ。カメにも必要だ、そう思ったのは私の勝手である。つまりは、ちびカメの動きの少なさに物足りなくなったのだ。『超市発』という国営スーパーの植木屋で出会ったカメを見て、私はちびカメに友達を連れて帰ることにした。

     こちらは甲羅が7センチくらいあり、力もありよく動く。売り場では、金魚鉢に7,8匹ごろごろと入れられて、折り重なっていた。

    「これはかわいそうだ、一匹救出しよう」

    と自分にさらに言い訳を加え、一匹ずつつまんで正面から顔を見た。すると、3匹目が、私の顔をみて、手をパタパタするのである。

    「そうか。うちに来る?」

    「いきます」

    と視線で言葉を交わし合った我々は意気投合、15元のカメに、15元の金魚鉢も一緒に買うと25元にするという店のお姉さんの言葉につられて、上が波型に絞られた丸い金魚鉢とともに自転車で帰宅した。

     さて、そろそろ本か何かできちんと勉強して飼わないとなぁ、と、本屋でカメ関連の書籍を探すと、3冊ほど見つかった。一冊は専門的すぎて難解、残り2冊の『養亀技術』と『寵物寵養 亀』を購入し帰宅、前者が非常に役立った。まずは写真を見て、うちのカメさんたちが何という種類のカメなのかを判断、そして飼い方のページへ。

    「そうか、みんなで一緒にいるのが好きなのか」

     店先での飼い方も、カメ自身にとってはそれほど苦痛ではなかったのかな、などと思いを巡らし、それなら二匹を一緒に飼おう、と、洗面器へ。陸が1つしかないのだが、もう一つ石鹸箱を買うのもなぁ。そこで、石鹸箱のふたの一部を切り取って、下半分が水に沈んで陸をなすように加工した。

     するとどうだろう。あのちびカメではなく、兄カメの方が、手足をはみ出させながら、石鹸箱の下にもぐるのだった。時間を置いてまた見ると、今度は二匹で重なり合って無理やり石鹸箱に入っている。これはもう、かくれる場所を与えてやるほかあるまいと決意した私は、北京で水草を売っている場所を探しにかかった。(つづく)

    ※写真は最近の二匹。石を入れ陸にしてある。石はその辺で拾った。

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    北京で暮らすカメ(その1)

    029_3  ルフールはフランス系のスーパーで、中国では漢字で「家楽福」と当てている。なかなかうまいものだ。ここで買い物をすると家が楽しくなって福が来るかのようではないか。そのカルフール中関村店でカメを買った。北京のシリコンバレーに位置する店で、最近できた巨大な地下ショッピングモールとつながっている。そのスーパーのレジを出たところの、小さな出店にカメたちはいた。観葉植物と一緒に売られている。位置付けが似ているのだろうか。

     どうやら北京では、カメを洗面器や金魚鉢に入れて飼うのが一般的らしい。以前、友達が洗面器で飼っていると聞いて驚いたものだが、これがなかな実際的なのだ。観察するにも掃除するにも非常に便利だし、カメも楽しく遊びまわれる。しかも、壁は滑って登れないので、今のサイズなら逃げられる心配もない。

     一方、連れ帰るために店で買った10元のプラのケースはどう考えても小さいし、カメ用階段付きのガラス水槽は、パーツの接着が微妙にずれていて、いまひとつ造りが妙だ。洗うのも大変そうだし......と、そんなこんなで、雑貨屋で大きめの洗面器を買い、石鹸箱で陸を作って飼い始めることに。

     さて、天気の良いある日、ネットで探しまわって調べた飼い方に従って、カメの健康のため日向ぼっこをさせてみた。甲羅の長さ4センチ程度とまだ小さいせいか、部屋の中で眺めていてもあまり動かず、まるで石でも飼っているみたいだなぁ、と思って、少し物足りなく感じていた2,3日目のことだ。窓の外の台に洗面器を出して、後からふと見ると、なんと! ちびカメが陸に上がってシンクロナイズドスイミングのような格好をしているではないか。ああ、生き物には太陽が必要なんだなぁ。しみじみ。かくして、北京のカメとの生活が始まった。(つづく)

     

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    オリンピック前夜(その1)

     京は今、オリンピックの準備で大忙しだ。昨日も、建設中のとあるスタジアムの横を通りかかると、何もなかった荒地にいきなり並木ができていた。トラックで大木を運んで、どんどん植えるのである。天を突く大木に出会って、「ああ、この木は何百年、行き交う人々を見てきたのだろう」と感慨に浸っていたら、その翌日、もう一本、似たような木を運んで植えていたのを見たこともある。木の年齢は相当なものだろうけれども、見てきた景色は別もののようだ。

     中国の工事は大胆だ。いざとなれば24時間3交替でびっしり作業するので、前の晩と翌朝の様子がまるで違うこともある。ことに、新学期を迎える直前のキャンパスなどは、前日の晩まで、深い深い溝が道路に掘ってあって、上に渡したコンパネの上をおっかなびっくり歩いていたような場所が、新入生の登録日の朝にはきれいな舗装道路になっていたりする。もちろん、工事の音は夜中じゅうそのあたり一帯に響き渡って寝られたものではないのだが、景色のあまりの変わりように驚くあまり、騒音や砂塵に対して怒る気力も失せるのであった。☆

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