北京で暮らす猫(42) ごろごろにゃん
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あしかけ5年付き合った電子辞書を教室に忘れ、気づいたときにはすでに見つからず。方々にタライ回しになって行き着いたところが、全学の紛失物を捜索・管理・廃棄する保衛処というところであった。
思えば某K社の電子辞書は、中国語が入った初めての電子辞書で、しかも、第一次出荷製品は強度不足の初期不良があり、無償修理の対象になっていた。ある日、開いた状態で持ち上げると、画面の左側のふちの部分がパッキリ割れて中から銅の色をした配線のようなものが見えた。あわてて購入先に持参すると、初期不良で無償修理とわかった。その後、モデルチェンジして強度を増したようで、「丈夫」というのをセールスポイントにしていたから恐れ入る。そんなことも懐かしい思い出だ。
保衛処に集められた遺失物の保管期間は3日間だそうだ。それで、置き忘れた教室のあるビルの守衛さんに「もう閉まっているかもしれないけど、宿直はいるはずだから、届けを出しに行きなさい」と言われて、たまたまその建物に行く建物管理のおじさんが通りかかったので(まるで都合のよいドラマのようだが、本当)、一緒に連れて行ってくれた。中国の北の方の人は背も高いし足も長いので、歩くのが非常に早い。ついてゆくだけで疲労困憊。
さて、そこはプールのある棟の3階であった。責任者のおじさんが面倒そうに話を聞く。部下らしきお兄さんが尋ねる。
「学生?教員?」
ああ、この土地に来て幾年月(というほどでもないが)、何度この質問をされたことか。私は日本の、いわゆる「ファミコン無き最後の世代」だ。と言えば何年生まれか、諸兄諸姉にはおわかりだろう。そんないい年をして、なぜこんな質問をされ続けるのだろう。どこか一本抜けていて子どもに見えるのか?
身分証明書を見せて、教員だとわかったら対応が幾分丁寧になった。基本的に、助けになろうとしてくれている姿勢は十分見て取れた。余談だが、その事務所は、さまざまなファイルに表題をつけたものが整然と立てられていて、これまで見たどのオフィスよりも仕事をしておりかつ能率が上がっている、という雰囲気であった。ということは、紛失物がいっぱいの環境である、ということだから、それほど喜べる話ではないのだが、まあ、いいさ。きっちりとワープロ字でプリントアウトされたラベルの貼られた背表紙を眺めながら、いくらか望郷の念にかられる。
「巡回の守衛が見つけたらすぐ連絡するからね」と、紛失届の書き方を教えてくれたお兄さん。「僕たちも探すけれど、君も、同僚や学生に声をかけておきなさいね」と、責任者のおじさん。くれぐれもよろしくとあいさつして辞す。
思えば簡素な辞書であった。電池を入れ替えるとせっかくの履歴が消えるのが残念だったが、今思えば、それくらいあっさりした辞書だったからこそ、諦めも着くのかもしれない、などと思ってもみる。もしこれが、私のこれまでの中国語学習歴の詰まった辞書だったら、一週間は泣き暮らすのではないだろうか。しかし、じきに向こうも忘れるんだから、こっちもあっさり忘れるさ、これでいいのだ。
現行の辞書は、しゃべったりなんだりと多機能になってしまったようだ。もし万一買い直さなければならなくなったら、使いこなせるかわからない。紙辞書は重くて今更持ち歩けないし、またしばらく悩みの季節が続きそうだ。
さらば愛しの電子辞書。本当に世話になった。見つからないと決まったわけではないが、心の準備だけはしておこう。困ったときはいつもそばにいてくれる、いい奴だった。☆
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以前買った炊飯器が大きすぎて使い切れず、友人夫妻にゆずって、自分用に小さなものを探しにスーパーへ。こちらのスーパーには小家電も置いているので何かと便利だ。
店員さんの勧めで、「蘇泊爾(Supor)」という杭州製のものを購入。家でじっくりパーツを洗ってみると、以前日本のヨドバシカメラ某店で購入した3合炊きのものと作りが似ている。使い勝手も似ていて非常に良い。炊飯モードとお粥・煮物モードがあり、保温もできる。気に入った。
炊き上がりも上々、ちゃんと「蟹の穴」も開いている。満足満足。
ところで、購入直後、念のために説明書を隅々まで読もうと思って手に取ると、表紙にこうあった(試訳は筆者)。
「豪華多機能炊飯器」
豪華、かなぁ。どうだろう?☆
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北京のプリント店はコダックがほとんどだ。というより、フィルムの会社名を出しているところでは、コダック以外を見たことがない。勤め先にも小さなプリント店がある。「芸術撮影」もしている、と看板にあり、何かと思えば、スーツ(レンタルあり、ちなみに上だけ)を着てかっこよく決める写真等も撮れます、ということだった。店長自らモデルになって撮影したものがウインドウに飾ってある。
タマの写真も、気に入ったものはプリントして部屋に飾っている。あるものは大伸ばしにして、写真立て代わりにガラスの入った本棚の扉へ。あるものは2Lくらいにしてアルバムへ。写真立てにも数枚。ちなみにこちらの写真立ては後ろの部分がよく壊れるので立てられなくなる場合も多い。今日の話では、持って行くと修理してくれるとのことだった。
さて、先日頼んだプリントを受け取りに写真店へ。店長にはすでに何度も写真を見られている。そこで、思い切って教えを乞うことにした。
「もっと良くするために、何かご提案はないでしょうか。」
店長、快くアドバイスをくださる。
「そうだね、このスタンドがこっち側にもあったらもっといいね。ほら、こっち側の輪郭が暗くてぼやけているからね」
「おお、なるほど。では、これは?」
「猫がスタンドの手前に居るともっとよかったね」
「おおお。本当ですね。では、これは?」
と、スタンドを見降ろすタマの写真を示すと、
「これはいい写真だ。もうちょっと、顔がこっちに向いて目が見られるともっと良かったね」
的確なアドバイスだ。さすがプロだ。聞いてよかった。
下の写真は唯一、これでいいと言われたもの。これは大伸ばしにして額に入れている。すべて数年前に買ったコンパクトデジカメで撮影したものなので、あまり凝ったことはできないものの、被写体への愛の深さだけは自信がある。☆
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